筋トレ後のプロテイン、「30分以内」はもう古い?科学が示す本当に大切な習慣

筋トレ

この記事は、筋トレやダイエットを始めたばかりの初心者の方に向けて
ケガや遠回りをせずに体を変えるための考え方と実践ポイントを
筆者自身の実体験をもとに解説しています。

プロテイン接種タイミングの失敗経験をもとに、
現在の接種タイミングを解説します。

 


[著者情報]

この記事を書いた専門家

田村(タムラ) 
ボディメイク実践者 / 行動×身体構造アプローチ

自身もかつては、自己流のダイエットやトレーニングで何度も遠回りを経験。
パーソナルトレーニングを受けながら、柔道整復師の専門的指導のもとで身体の使い方・回復・負荷設計を見直し、23kgの減量に成功

その成果として、2025年APF埼玉大会5位・全国11位を獲得。
「気合いや根性」ではなく、身体構造・回復・行動設計を重視した再現性のあるアプローチを強みとする。


なぜ私たちは「ゴールデンタイム」に振り回されてしまうのか?

まず、あなたが情報の波に溺れてしまうのは、決してあなただけのせいではありません。

「筋トレを始めたなら、終わった後30分以内にプロテインを飲むのが常識だよ」とジムの先輩に言われたり、雑誌で「ゴールデンタイムを逃すな!」という特集記事を読んだりした経験はありませんか? 私もトレーナーとして、「プロテインはいつ飲むのが一番いいんですか?」という質問を毎日のように受けます。

このように、世の中には「トレーニング直後のプロテイン摂取」を絶対視する情報が溢れています。この考え方は、トレーニングで傷ついた筋肉が最も栄養を吸収しやすい時間帯、いわゆる「アナボリックウィンドウ」を最大限に活用しようというものです。

しかし一方で、最近の研究では「ゴールデンタイムはそれほど重要ではない」という意見も増えてきました。この正反対の情報が、特に筋トレを始めたばかりのあなたを混乱させ、不安にさせてしまう大きな原因なのです。

結論:タイミングより「1日の総量」が9割。筋肥大の科学的新常識

では、結局何を信じればいいのか。ここで、今日の最も大切な結論をお伝えします。

それは、筋肥大への貢献度において、プロテインを飲むタイミング(アナボリックウィンドウ)よりも、1日に必要なタンパク質の総量をしっかり摂ること(総タンパク質摂取量)の方が、圧倒的に重要であるということです。

なぜなら、私たちの筋肉を作る働き、専門用語で「筋タンパク質合成」と言いますが、この働きはトレーニング後30分だけで終わるわけではないからです。筋タンパク質合成は、トレーニング後、少なくとも24時間以上は活発な状態が続きます。

これを「筋肉の工場」に例えてみましょう。トレーニングは工場を稼働させるスイッチですが、工場を24時間動かし続けるには、常に材料(タンパク質)を供給し続ける必要があります。トレーニング直後の30分だけ材料を送っても、その後の23時間が材料不足では、工場は十分に製品(新しい筋肉)を作れませんよね。

つまり、筋肥大において「総タンパク質摂取量」の確保は、「アナボリックウィンドウ」を意識することよりもはるかに重要度が高いのです。この関係性を理解することが、タイミングへの過度なこだわりから解放されるための第一歩です。

初心者のための「プロテイン習慣」2ステップ実践ガイド

「総量が大切なのは分かったけれど、じゃあ具体的にどうすればいいの?」という声が聞こえてきそうですね。ここからは、あなたが今日から迷わず行動できる、具体的な2つのステップを解説します。

ステップ1: あなたの「1日目標量」を知ろう

まずは、あなたの体が一日に必要とするタンパク質の量を計算してみましょう。

複数の信頼できる研究で、筋肥大を効率的に行うには「体重1kgあたり1.6g」のタンパク質を1日に摂取することが推奨されています。

例えば、あなたの体重が70kgであれば、計算式は以下のようになります。

70kg × 1.6g = 112g

これが、あなたが1日に食事とプロテインを合わせて摂るべきタンパク質の目標量です。鶏むね肉や卵、豆腐などに含まれるタンパク質量を意識しながら、この目標を達成することを目指しましょう。

ステップ2: まずは「ホエイプロテイン」から始めよう

次に、どのプロテインを選ぶかですが、初心者のあなたにはまず「ホエイプロテイン」をおすすめします。

ホエイプロテインは、牛乳を原料とするプロテインで、体への吸収が速いという特徴があります。この吸収の速さが、トレーニング後の体に効率よくタンパク質を届け、筋肉の工場を動かすスイッチである「筋タンパク質合成」を迅速に開始させるのに適しているのです。

トレーニング後に飲む一杯としてはもちろん、朝食にプラスしたり、食事と食事の間が空いてしまう時の間食として活用したりして、ステップ1で計算した「1日の目標量」を達成するための補助として使うのが非常に効果的です。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 「トレ後に飲めないから今日はやめよう」と考えるのは、最ももったいない失敗です。

なぜなら、この点は多くの人が見落としがちで、完璧なタイミングにこだわるあまり、最も重要な「1日の総量を満たす」という目的を見失ってしまうからです。プロテインは「トレーニング直後の魔法の薬」ではなく、「1日のタンパク質目標量を達成するための便利な栄養補助食品」と考えてください。この考え方の転換が、あなたの成功の助けになれば幸いです。

よくある質問(FAQ)

最後に、初心者の方からよくいただく質問にお答えします。

Q. 筋トレしない日もプロテインは飲むべき?

A. はい、飲むことをおすすめします。筋肉の修復と成長は、トレーニングをしていない休息日に起こります。筋肉の工場は24時間稼働しているため、休日でも材料であるタンパク質をしっかり供給してあげることが大切です。ただし、食事だけで目標量を達成できる日は、無理に飲む必要はありません。

Q. 寝る前や朝に飲むのはどうですか?

A. どちらも良いタイミングです。特に、ゆっくり吸収される「カゼインプロテイン」を就寝前に飲むと、睡眠中の筋肉の分解を防ぐ効果が期待できます。また、朝食はタンパク質が不足しがちなので、ホエイプロテインを一杯加えるのは、1日の総摂取量を確保する上で非常に有効です。

Q. プロテインと一緒におにぎりなどを食べた方が良いと聞きました。

A. はい、特にトレーニング直後には効果的です。おにぎりなどの炭水化物(糖質)を一緒に摂ることで、筋肉の分解を防ぎ、タンパク質が筋肉へより効率的に運ばれるのを助けてくれます。

Q. 女性でも同じように考えて良いですか?

A. はい、基本的な考え方は全く同じです。女性の場合も、体重1kgあたり1.2g〜1.6gのタンパク質を目安に、1日の総量を意識することが、引き締まった体を作る上で重要になります。


まとめ:もうタイミングに縛られず、自信を持って始めよう

今日から「30分以内」という焦りから解放されましょう。

筋トレの効果を最大化するために本当に大切なのは、あなたの体重に合った「1日の総タンパク質量」を毎日しっかり摂ることです。

プロテインは、その目標達成を助けてくれる、あなたの心強いパートナーです。トレーニング後に飲むのはもちろん良い習慣ですが、それ以上に、あなたのライフスタイルに合わせて、足りない分を補うという視点で活用してみてください。

正しい知識があれば、もう迷うことはありません。自信を持って、あなたのトレーニング効果を最大化させていきましょう。

 

参考文献リスト

  • Morton, R. W., Murphy, K. T., McKellar, S. R., Schoenfeld, B. J., Henselmans, M., Helms, E., … & Phillips, S. M. (2018). A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults. British journal of sports medicine, 52(6), 376-384. (NSCA PARKの記事で引用されている主要論文)
  • Kerksick, C. M., Arent, S., Schoenfeld, B. J., Stout, J. R., Campbell, B., Wilborn, C. D., … & Antonio, J. (2017). International society of sports nutrition position stand: nutrient timing. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 14(1), 33.
  • 独立行政法人 国立健康・栄養研究所, 「たんぱく質」, https://www.nibiohn.go.jp/eiken/info/pdf/20190125.pdf

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