[著者情報]
この記事を書いた人:里美 (さとみ)
表情筋インストラクター
現在は、メスを使わないエイジングケアを専門とし、特に予防医学としての表情筋トレーニングの指導に力を入れている。著書に『40歳からの「たるみケア」事典』があり、大手女性誌での連載も多数。延べ1万人以上の肌悩みに向き合ってきた経験から、一人ひとりの不安に寄り添う丁寧なカウンセリングが評判。
こんにちは、里美です。
鏡を見て「なんだか疲れて見えるな…」と感じる日、ありますよね。そのお気持ち、とてもよく分かります。特に、頬の位置が少し下がったように感じたり、ほうれい線が深くなったりすると、実年齢より老けて見られているのではないかと不安になるものです。
しかし、そのお悩みは「1日たった3分、正しい方法」で表情筋を鍛えることで、改善へと導くことができます。
この記事では、これまで1万人以上の女性を診てきた美容皮膚科医である私が、自己流の失敗を避け、最も効果的な「大頬骨筋(だいきょうこつきん)」という一つの筋肉に集中する、安全なコアトレーニングだけを厳選してご紹介します。
この記事を読み終える頃には、頬がたるむ本当の原因を理解し、今日から迷わず実践できる、一生モノのセルフケア習慣が身についているはずです。一緒に、自信の持てる毎日を取り戻しましょう。
なぜ?自己流ケアが逆効果になる「たるみの落とし穴」
まず、とても大切なことからお話しさせてください。
私のクリニックには、「良かれと思ってやっていたセルフケアで、かえってたるみを悪化させてしまった」と駆け込んでくる方が後を絶ちません。
「シワを伸ばそうと、毎晩強くマッサージしていませんか?」
「頬を上げようと、やみくもに顔を全体を動かしていませんか?」
これらは、私がクリニックで本当によく聞くお話です。たるみを改善したいという真剣なお気持ちが、もし間違った方向に進んでしまったら、これほど悲しいことはありません。
そもそも、頬のたるみは、主に3つの原因が重なって起こります。家の構造に例えてみましょう。
- 【柱の衰え】表情筋の衰え: 家を支える「柱」である顔の筋肉が、年齢や無表情の習慣で衰えてしまう状態です。
- 【壁の劣化】コラーゲンの減少: 家の「壁」にあたる肌のハリ(コラーゲンやエラスチン)が、紫外線や加齢で失われてしまう状態です。
- 【内装の移動】皮下脂肪の下垂: 家の「家具や内装」である皮下脂肪が、重力に負けて下のほうへズレてしまう状態です。
自己流のマッサージは、この中の「壁」である肌を無理にこすることで、コラーゲンを傷つけてしまうリスクがあります。そして、やみくもな筋トレは、鍛えるべき「柱」ではない部分にばかり力が入り、新たなシワを作ってしまう危険性すらあるのです。
だからこそ、まずはこの「たるみの落とし穴」を知り、正しいアプローチを学ぶことが何よりも重要になります。
答えは一つ。頬のリフトアップは「大頬骨筋」を鍛えなさい
では、どうすれば安全に、そして効果的にたるみを改善できるのでしょうか。
たくさんの筋肉を覚える必要はありません。答えはシンプルです。大切なのは、頬を支える中心的な柱である「大頬骨筋」を、ピンポイントで鍛えることです。
大頬骨筋は、頬骨から口角に向かって斜めに伸びている筋肉で、にっこりと笑うときに使われます。この大頬骨筋とほうれい線には、原因と結果という直接的な関係性があります。大頬骨筋が衰えると、まるでテントの支柱が弱るように、その上にある皮膚や脂肪を支えきれなくなり、結果としてほうれい線がくっきりと刻まれてしまうのです。
つまり、頬のリフトアップとは、この大頬骨筋をもう一度しっかりと目覚めさせ、頬を元の位置に引き上げてあげることに他なりません。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: トレーニングの種類を増やすより、まずは「大頬骨筋」一つを完璧に動かすことに集中してください。
なぜなら、かつての私は多くの種類のトレーニングを指導していましたが、ほとんどの方が継続できずに挫折してしまうのを目の当たりにしてきたからです。多くのことをやろうとして、どれも中途半端になるよりも、最も重要な「大頬骨筋」へのアプローチを毎日続ける方が、結果的に遥かに大きな効果を生むと、長年の臨床経験で確信しています。
今日から始める!安全・簡単な3分間コア筋トレ
お待たせしました。それでは、今日からすぐに実践できる「3分間コア筋トレ」をご紹介します。
必ず鏡の前で、これから動かす筋肉を意識しながら、ゆっくりと行ってください。
ステップ1:準備運動(約30秒)
まずは顔全体の筋肉を優しくほぐし、血行を促進します。
- 口を軽く開け、上下の歯が触れないようにリラックスさせます。
- 「あー」「いー」「うー」「えー」「おー」と、一つ一つの音を5秒ずつかけて、口を大きくゆっくりと動かします。口周りの筋肉が伸びているのを感じましょう。
ステップ2:メイントレーニング(約2分)
いよいよ、大頬骨筋に直接アプローチしていきます。
- 口角を上げる(10秒キープ × 3セット)
- 口を軽く閉じ、上の歯が少し見えるくらいまで口角を真横に引きます。
- そこから、頬骨に引き寄せるイメージで、口角を「ニッ」と斜め上に最大限引き上げます。
- 頬の一番高い位置の筋肉が硬くなっているのを確認しながら、10秒間キープします。
- ゆっくりと元の顔に戻します。これを3回繰り返します。
- ウインクトレーニング(左右交互に10回ずつ)
- 片方の目を、頬の筋肉を使って持ち上げるように、ゆっくりと閉じます(ウインクします)。
- このとき、口角もウインクする側の頬に引き寄せられるように、一緒に引き上げます。
- ゆっくりと元に戻し、反対側も同様に行います。これを左右交互に10回ずつ繰り返します。
ステップ3:クールダウン(約30秒)
最後に、使った筋肉を優しくリラックスさせます。
- 両手の人差し指、中指、薬指の腹を、頬骨の下に優しく当てます。
- 「あー」と口を開けながら、指の腹で優しく円を描くように、頬の筋肉をほぐします。
- 最後に、化粧水や乳液で顔全体を優しく保湿して終了です。
この3ステップ、合計約3分のトレーニングです。大切なのは、毎日続けること。朝の洗顔後や、夜のスキンケアのついでなど、生活の中に組み込んでみてください。
よくある質問と不安にお答えします【医師のQ&A】
最後に、よくいただく質問にお答えします。
Q1. どのくらいの期間で効果が出ますか?
A1. 体の筋トレと同じで、効果の出方には個人差がありますが、多くの方が1ヶ月ほどで「顔がスッキリした感じがする」、2〜3ヶ月で「ほうれい線が少し浅くなったかも」といった変化を感じ始めます。大切なのは、焦らずに正しいフォームで継続することです。
Q2. 本当にシワは増えませんか?
A2. ご紹介したように、鏡を見ながら、おでこや眉間、目尻などに余計な力が入っていないか確認しながら行えば、シワが増える心配はほとんどありません。表情筋トレーニングとシワのリスクが関連付けられるのは、間違った方法で行った場合です。もしトレーニング中に他の場所にシワが寄る場合は、動きが大きすぎるサインかもしれません。動きの幅を少し小さくして、大頬骨筋だけを動かす意識を強めてみてください。
Q3. 肌が乾燥している時にやってもいいですか?
A3. 肌が乾燥していると、皮膚への負担が大きくなる可能性があります。トレーニング前後にしっかりと保湿ケアをすることを心がけてください。特にお風呂上がりなど、肌が潤っている状態で行うのがおすすめです。
まとめ:未来のあなたへの一番の贈り物は、今日の3分から
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
頬のたるみケアは、決して複雑ではありません。
- 狙うべきは、頬のリフトアップ筋である「大頬骨筋」
- 実践するのは「1日たった3分」の簡単なトレーニング
- 大切なのは、自己流を避けて「正しい方法で」毎日続けること
これが、私が1万人以上の肌と向き合ってきてたどり着いた、最も確実で安全なセルフケアの結論です。
年齢のせいだと諦める必要は、まったくありません。今日のこの3分が、5年後、10年後のあなたへの一番の贈り物になります。まずは1週間、そして1ヶ月。鏡を見るのが少しずつ楽しみになる、そんな毎日を、ぜひご自身の力で手に入れてください。
[参考文献リスト]
- Murad Alam, MD, et al. “Association of Facial Exercise With the Appearance of Aging.” JAMA Dermatology, 2018. https://jamanetwork.com/journals/jamadermatology/fullarticle/2666801


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