この記事は、筋トレやダイエットを始めたばかりの初心者の方に向けて
ケガや遠回りをせずに体を変えるための考え方と実践ポイントを
筆者自身の実体験をもとに解説しています。
うまく効かせられなかった失敗経験をもとに、
初心者がつまずきやすい原因と改善ポイントを解説します。
[著者情報]
この記事を書いた専門家
田村(タムラ)
ボディメイク実践者 / 行動×身体構造アプローチ自身もかつては、自己流のダイエットやトレーニングで何度も遠回りを経験。
パーソナルトレーニングを受けながら、柔道整復師の専門的指導のもとで身体の使い方・回復・負荷設計を見直し、23kgの減量に成功。その成果として、2025年APF埼玉大会5位・全国11位を獲得。
「気合いや根性」ではなく、身体構造・回復・行動設計を重視した再現性のあるアプローチを強みとする。
「ベンチプレス、85kgまでは順調だったのに、90kgの壁がどうしても越えられない…」そんな悔しい思いをしていませんか?私も同じ経験をしたので、その気持ちが痛いほどわかります。
結論から言います。その停滞の原因は、胸の筋力不足ではありません。バーを押す力の土台となる肩甲骨の不安定さにあります。
この記事では、多くのトレーニーが見落としている「前鋸筋」を起動させ、あなたのパワーロスをなくす、たった1つの即効ドリル「アクティブ・プッシュアップ・プラス」を徹底解説します。
この記事を読めば、停滞の根本原因を理解し、次のトレーニングからすぐに実践できる具体的な武器が手に入ります。
なぜあなたのベンチプレスは85kgで止まるのか?停滞の正体は「パワーリーク」
「もっと胸を鍛えなきゃ」「もっと食べなきゃ」そう考えていませんか?私も昔、100kgの壁を前にして、がむしゃらに胸トレの日を増やした苦い経験があります。しかし、重量は一向に伸びませんでした。
今、あなたのベンチプレスで起きている停滞も、おそらく同じ問題が原因です。バーを押し上げる際、無意識に肩がすくんでしまったり、左右でバーの挙がり方が違うように感じたりすることはないでしょうか。
それは、力の土台である肩甲骨の安定性が失われているサインです。肩甲骨の安定性が失われると、大胸筋が生み出したパワーが効率的にバーベルに伝わらず、別の方向へ逃げてしまいます。私はこの現象を「パワーリーク(力の漏れ)」と呼んでいます。
まるで穴の開いたバケツで水を運ぶように、いくら筋力という水を注ぎ込んでも、肝心なところで力が漏れてしまっているのです。このパワーリークこそが、あなたのベンチプレスが85kgで止まってしまう根本的な原因なのです。
停滞打破のカギは胸じゃない。「ボクサー筋(前鋸筋)」を起動せよ
では、どうすればパワーリークを防ぎ、力の土台を固めることができるのでしょうか。そのカギを握るのが、脇の下から肋骨にかけて付着している「前鋸筋(ぜんきょきん)」です。ボクサーがパンチを打つ際に使われることから、「ボクサー筋」とも呼ばれています。
この前鋸筋と肩甲骨の安定性には、原因と結果の明確な関係があります。前鋸筋の最も重要な役割は、肩甲骨を肋骨にしっかりと引きつけて固定することです。まるで強力な接着剤のように、肩甲骨がグラつかないように支えてくれています。
つまり、前鋸筋が適切に機能することが、肩甲骨の安定性を生み出すのです。そして、安定した肩甲骨という土台があって初めて、あなたのベンチプレスのパワーは100%バーベルに伝わります。多くの人が大胸筋ばかりに目を向けますが、本当の強さは、この目立たない前鋸筋が支えているのです。

これだけやればOK。即効ドリル「アクティブ・プッシュアップ・プラス」完全ガイド
数ある前鋸筋トレーニングの中でも、ベンチプレスの停滞打破という目的において、やるべき種目はただ一つ。それが「プッシュアップ・プラス」です。
なぜ他の種目ではなくプッシュアップ・プラスなのでしょうか。その理由は、この種目が前鋸筋の主要な機能である「肩甲骨の外転(がいてん)=肩甲骨を左右に引き離す動き」をダイレクトに強化するからです。この動きは、ベンチプレスでバーを押し切る最後の局面と全く同じであり、パフォーマンスに直結します。
【プッシュアップ・プラスの正しいフォーム】
- スタートポジション: 腕立て伏せの姿勢をとります。手は肩幅より少し広めに開き、頭からかかとまでが一直線になるようにしてください。体幹に力を入れて、腰が反らないように注意します。(※強度が強すぎる場合は、膝をついた状態から始めても構いません)
- 沈み込む動き(マイナス局面): 肘を伸ばしたまま、肩甲骨を背骨に寄せるようにして、胸をわずかに床に近づけます。
- 押し出す動き(プラス局面): ここが最も重要です。手のひら全体、特に付け根の部分で力強く床を押し、肩甲骨を左右に最大限引き離すように背中を丸めます。天井に背中を突き上げるようなイメージです。脇の下(前鋸筋)がキュッと収縮する感覚があれば、正しくできています。
- この2と3の動きを、ゆっくりと繰り返します。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 肘は絶対に曲げず、「肩甲骨だけ」を動かす意識を持ってください。
なぜなら、この点は多くの人が見落としがちで、疲れてくると無意識に肘を曲げてしまい、ただの腕立て伏せになってしまうからです。肘をロックしたまま行うことで、負荷が前鋸筋に集中します。この知見が、あなたの成功の助けになれば幸いです。
プッシュアップ・プラスのOKフォームとNGフォーム
| フォームの種類 | 画像(イメージ) | チェックポイント |
|---|---|---|
| ✅ OKフォーム | (背中が丸まり、肩甲骨が開いている男性の写真) | ・肘が完全に伸びている ・背中(肩甲骨の間)が天井に向かって丸まっている ・頭からお尻までが一直線を保っている |
| ❌ NGフォーム | (肘が曲がっている、または腰が反っている男性の写真) | ・肘が曲がってしまっている ・腰が反ってお腹が落ちている ・肩甲骨ではなく腕で動作している |
いつ、何回やればいい?ベンチプレスを最大化する実践プログラム
このプッシュアップ・プラスは、いつものトレーニングメニューにどのように組み込めば良いのでしょうか。
結論として、このドリルは、ベンチプレスを行う直前のウォーミングアップとして取り入れるのが最も効果的です。
目的は、前鋸筋を疲れさせること(筋肥大)ではなく、神経系を起動させ、脳と筋肉に「これから肩甲骨を安定させて動作しますよ」という指令を送ること、すなわち「アクティベーション」です。メインセットの前に前鋸筋のスイッチを入れておくことで、ベンチプレス中の肩甲骨の安定性が劇的に向上します。
【推奨プログラム】
- タイミング: ベンチプレスのウォーミングアップセットの直前
- セット数: 2セット
- レップ数: 10〜15回
- ポイント: 筋肉を疲れさせず、動きだけを脳に思い出させるため、丁寧なフォームでゆっくり行いましょう。
胸の発達に必要なベンチプレスでは重量や回数だけではなく、神経系のトレーニングも必要となってきます。

よくある質問(FAQ)
Q1: 膝をついても効果はありますか?
A1: はい、全く問題ありません。特に初めのうちは、膝をついた方がフォームに集中しやすく、前鋸筋への刺激をしっかりと感じられます。大切なのは負荷の重さではなく、肩甲骨を正しく動かすことです。
Q2: 肩が痛いのですがやっても大丈夫ですか?
A2: いいえ、痛みがある場合は絶対に無理をしないでください。トレーニングにおける痛みは、身体からの重要な警告サインです。まずは整形外科などの専門医に相談し、痛みの原因を特定することを最優先してください。
Q3: 他に前鋸筋を鍛える種目はありますか?
A3: はい、「ダンベル・プルオーバー」や「ケーブル・パンチ」なども前鋸筋に効果的な種目です。しかし、ベンチプレスのパフォーマンス向上という特定の目的においては、動作の関連性が最も高い「プッシュアップ・プラス」を、まずはマスターすることをおすすめします。
まとめ:90kgの壁を越えて、新しいステージへ
あなたのベンチプレスが停滞していた原因は、努力不足でも筋力不足でもありませんでした。力の土台となる肩甲骨の不安定さを引き起こす「パワーリーク」が、その正体です。
そして、その解決策は、脇の下にある前鋸筋を起動させる、たった一つのドリル「プッシュアップ・プラス」を実践することです。
【今日から実践すべきこと】
- ベンチプレスの前には、必ずウォーミングアップとして「プッシュアップ・プラス」を10〜15回×2セット行う。
- 動作中は「肘を伸ばし、肩甲骨を押し出す」意識を徹底する。
- メインセットでは、起動した前鋸筋によって肩甲骨が安定する感覚を味わう。
もう力任せに悩む必要はありません。次のトレーニングでは、ぜひこのドリルを試してみてください。肩甲骨がピタッとベンチにハマる、今までとは違う安定感をきっと感じられるはずです。その安定感こそが、あなたを90kgの壁の向こう側へと導いてくれるでしょう。
今すぐこの記事をブックマークして、次のジムで試してみましょう!
[参考文献リスト]
- ベンチプレスで最も重要な「前鋸筋」の鍛え方について解説 – 初心者専門パーソナルトレーニングジム ノックス札幌円山店 (https://knox.fit/blog/…)
- 【図解】前鋸筋の機能解剖|肩の痛みと翼状肩甲を運動学的に捉えるリハビリ・筋トレ法 – NEUROスタジオ (https://www.ilneurostudio.com/417/)
- 前鋸筋とはどんな筋肉?おもな作用や翼状肩甲との関連性を解説 – セラピストプラス (https://co-medical.mynavi.jp/contents/therapistplus/lifestyle/beauty/22140/)



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