妊娠中の食事、本当に悩みますよね。特に「プロテイン」は、飲んでいいのか、赤ちゃんへの影響はないのか、不安に思う方がとても多いです。
この記事の結論は、「基本は食事から。でも、もし飲むなら『3つの鉄則』を守れば、プロテインはあなたの心強い味方になります」です。
巷のおすすめ商品を鵜呑みにするのではなく、この記事を読めば、あなた自身で安全なプロテインを選べるようになります。情報過多で疲れたあなたの不安を解消し、自信を持って栄養管理できるよう、専門家が徹底サポートします。
この記事を書いた人
恵(めぐみ)
管理栄養士(妊産婦専門)
大学病院の産婦人科で勤務後、独立。現在はフリーランスとして、産婦人科クリニックでの栄養カウンセリングや自治体の母親学級で講師を務める。1,000人以上の妊婦さんの食事の悩みに寄り添ってきた経験から、科学的根拠に基づきつつも、一人ひとりの生活に合わせた温かいアドバイスを心掛けている。1児の母。
「赤ちゃんのために…」でも本当に大丈夫?妊婦さんのプロテインへの3つの不安
私が妊婦さんとのカウンセリングでよく受けるご質問は、大きく3つに分けられます。あなたも、同じようなことで悩んでいませんか?
- 不安①:そもそも赤ちゃんに影響はないの?
「プロテインって、筋肉ムキムキの人が飲むイメージ…。妊娠中に飲んで、お腹の赤ちゃんに何か悪い影響が出たりしない?」これは、最も多くの方が抱く、当然の不安です。大切なお子さんのことだからこそ、少しでもリスクがあるものは避けたい、そう思いますよね。 - 不安②:添加物や人工甘味料が怖い…
「”無添加”と書いてあっても、裏の成分表示を見るとカタカナの成分がたくさん…。人工甘味料とか、着色料とか、本当に安全なのか分からなくて怖い。」せっかく栄養を補給しようと思っても、体に余計なものを入れたくない、という気持ちは非常によく分かります。 - 不安③:情報が多すぎて、どれを信じたらいいかわからない…
ネットで検索すれば「妊婦さんにおすすめ!」という商品がたくさん出てくる一方で、「飲まない方がいい」という意見もある。インフルエンサーや友人の口コミも様々で、一体どの情報を信じれば良いのか分からず、混乱してしまいますよね。
これらの不安は、すべてお腹の赤ちゃんのことを真剣に考えているからこそ生まれるものです。決して一人で抱え込まず、一つずつ一緒に解決していきましょう。
結論:食事が基本。でも、つらい時は「お守り」になります
まず大前提として、プロテインはあくまで食事の「補助」であり、食事の「代替」にはなりません。
妊娠中に必要なたんぱく質の量は、厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準」で具体的な数値が示されています。この「日本人の食事摂取基準」は、日本の栄養に関する指針の中で最も信頼性が高いものです。
妊娠中期(妊娠16~27週)には1日あたり+5g、妊娠後期(妊娠28週以降)には+25gのたんぱく質を普段の食事に加えて摂ることが推奨されています。
出典: 日本人の食事摂取基準(2020年版) – 厚生労働省
例えば、妊娠後期に必要な+25gという量は、鶏もも肉なら約100g、卵なら4個分に相当します。多く感じるかもしれませんが、3食に分けて少しずつ意識すれば、食事から十分に摂れる場合がほとんどです。
しかし、つわりで思うように食べられなかったり、仕事で忙しく食事が偏りがちになったりすることもありますよね。そんな時に「食べなきゃ」と自分を追い詰めてしまうのは、かえってストレスになります。
どうしても食事がつらい時、プロテインは不足しがちなたんぱく質を手軽に補給できる、心強い「お守り」のような存在になってくれるのです。

もう迷わない!安全なプロテインを選ぶための「3つの鉄則」
もしプロテインを「お守り」として使うなら、ご自身で安全な製品を見極める知識を持つことが何より大切です。広告の言葉に惑わされず、これからお伝えする「3つの鉄則」を基準に選んでみてください。
鉄則①:余計なものが入っていないか?(添加物)
まず確認したいのが、人工甘味料、着色料、香料、保存料といった添加物です。これらの添加物は、すぐに赤ちゃんへ影響があるわけではありませんが、妊娠中にあえて摂る必要のない成分です。特に、アセスルファムKやスクラロース、アスパルテームといった人工甘味料は、甘みが強く習慣化しやすいため注意しましょう。
【チェック方法】
製品の裏にある「原材料名」の欄を見てください。原材料は含まれる量が多い順に記載されています。「/」の後や、原材料名と添加物が明確に区分けされている欄に記載されているものが添加物です。この部分の種類が少ない、シンプルな製品を選びましょう。
鉄則②:過剰摂取が心配な成分は大丈夫か?(ビタミンA・大豆イソフラボン)
良かれと思って摂った栄養素が、逆にリスクになることもあります。特に注意したいのが「ビタミンA」と「大豆イソフラボン」です。
- ビタミンA: 美容目的のプロテインに含まれることがあります。妊娠初期にビタミンAを過剰摂取すると、お腹の赤ちゃんの奇形リスクが高まることが知られています。妊婦向けのサプリメント以外で、ビタミンAが添加されているものは避けましょう。
- 大豆イソフラボン: ソイプロテインの原料である大豆に含まれる成分です。通常の食事(納豆や豆腐など)から摂る分には問題ありませんが、プロテインのようなサプリメントで習慣的に大量摂取することの安全性は、まだ確立されていません。食品安全委員会も注意を促しています。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: プロテインの種類で迷ったら、まずは牛乳由来の「ホエイプロテイン」か「カゼインプロテイン」で、無添加のものを選ぶのがシンプルで安心です。
なぜなら、ソイプロテインは「大豆イソフラボン」のリスクを考える必要があり、初心者の方には少し判断が難しいからです。まずは余計な心配が少ないシンプルな製品から試してみるのが、不安を減らす第一歩になります。
鉄則③:原材料はシンプルか?
鉄則①、②とも関連しますが、最終的には原材料名を見て、知らないカタカナの成分や、ハーブ系の成分(〇〇エキスなど)が極力少ない製品を選ぶのが安心です。
原材料が「乳清たんぱく(ホエイ)」や「カゼインカルシウム」と、ごく数種類だけの製品も存在します。味がついていなくても、フルーツや牛乳と混ぜれば美味しく飲むことができます。

よくあるご質問(FAQ)
Q. つわりがひどくて食事ができない時、プロテインだけで大丈夫?
A. プロテインだけで食事を済ませるのは推奨できません。プロテインで補えるのは主にたんぱく質であり、ビタミンやミネラル、食物繊維といった、赤ちゃんの成長とご自身の健康に不可欠な他の栄養素が不足してしまいます。あくまで食事を摂るのが難しい時の補助として考え、ゼリー飲料やスープなど、他のものと組み合わせて少しでも栄養を摂るように心がけましょう。
Q. いつ飲むのが一番効果的ですか?
A. 妊娠中の栄養補給が目的であれば、飲む時間に厳密な決まりはありません。食事量が少なくなりがちな朝食時や、小腹が空いた間食の時間帯に、食事にプラスする形で摂るのがおすすめです。
Q. 産後・授乳中も同じプロテインを飲んでいいですか?
A. 授乳中も、お母さんが摂る栄養が母乳の質に影響するため、妊娠中と同様に添加物が少なくシンプルなプロテインを選ぶのが安心です。産後の体力回復にもたんぱく質は重要ですので、上手に活用してください。
Q. どこで買うのがおすすめですか?
A. ドラッグストアやベビー用品店、あるいはオンラインストアで購入できます。特にオンラインストアは品揃えが豊富で、原材料表示をじっくり比較検討できるメリットがあります。口コミを見る際は、個人の感想だけでなく、成分について客観的に評価しているものを参考にすると良いでしょう。
まとめ:自信を持って、あなたのペースで
最後に、この記事の最も大切なポイントをもう一度お伝えします。
- たんぱく質は、まずバランスの良い食事から摂るのが大原則です。
- もしプロテインを使うなら、「3つの鉄則」を使って、あなた自身で安全な製品を選びましょう。
- そして、飲む前には必ずかかりつけのお医者さんに相談してください。
情報に振り回される必要はもうありません。あなたにはもう、ご自身と赤ちゃんのために最善の選択をする知識が備わっています。焦らず、あなたのペースで進んでくださいね。
この記事が、あなたの不安を少しでも軽くし、穏やかなマタニティライフを送るための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。
参考文献リスト
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
- 食品安全委員会「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」


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