健康診断の結果を見て、「なぜ?」と不安になっていませんか? 健康のために始めた筋トレが、逆に不健康のサインだとしたら…そう思うと心配ですよね。
ご安心ください。多くの場合、その高い数値はあなたの努力の証である「筋肉」が原因です。
しかし、中には注意すべき肝臓のサインが隠れていることも。この記事では、単なる原因解説だけでなく、あなたの検査結果を当てはめるだけで『筋肉のせい』か『肝臓のサイン』かを判断できる【3ステップ・フローチャート】をご用意しました。
この記事を読めば、ご自身の状態を正しく理解し、次に何をすべきかが明確になります。
この記事は、筋トレやダイエットを始めたばかりの初心者の方に向けて
ケガや遠回りをせずに体を変えるための考え方と実践ポイントを
筆者自身の実体験をもとに解説しています。
[著者情報]
この記事を書いた専門家
田村(タムラ)
ボディメイク実践者 / 行動×身体構造アプローチ自身もかつては、自己流のダイエットやトレーニングで何度も遠回りを経験。
パーソナルトレーニングを受けながら、柔道整復師の専門的指導のもとで身体の使い方・回復・負荷設計を見直し、23kgの減量に成功。その成果として、2025年APF埼玉大会5位・全国11位を獲得。
「気合いや根性」ではなく、身体構造・回復・行動設計を重視した再現性のあるアプローチを強みとする。
まずは落ち着いて。筋トレでAST/ALTが上がる「当然の理由」
健康診断の結果を見て、驚かれたことでしょう。「健康のために頑張っているのに、なぜ?」その気持ち、よく分かります。私の外来にも、あなたと同じように不安な顔で来られるトレーニーの方が後を絶ちません。しかし、安心してください。多くの場合、その数値はあなたの努力の証です。今日は、その理由と、本当に注意すべきサインの見分け方を、一つずつ丁寧に解説していきますね。
そもそも、健康診断で見る肝機能の数値、特にAST(GOT)とALT(GPT)は、肝臓の細胞が壊れたときに血液中に出てくる酵素です。
しかし、ここで最も重要な事実は、AST(GOT)という酵素は、肝臓だけでなく筋肉の細胞にも非常に多く含まれているということです。
つまり、あなたがハードな筋力トレーニングを行うと、筋線維が一時的に分解・修復されます。この筋力トレーニングによる筋細胞の分解が、ASTの上昇を引き起こすのです。これは病気ではなく、筋肉が成長するための正常な生理反応なので、過度に心配する必要はありません。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 健康診断の結果を見てパニックになり、自己判断でトレーニングを完全に中断しないでください。
なぜなら、この点は多くの人が見落としがちで、せっかくのトレーニング習慣を不必要に止めてしまうケースが非常に多いからです。まずは冷静に、ご自身の数値を他の項目と比較することが、的確な第一歩となります。この知見が、あなたの成功の助けになれば幸いです。
【この記事の核心】あなたの数値は大丈夫? 3ステップで分かる原因判断フローチャート
さて、ここからが本題です。あなたのAST/ALT値が「ほぼ筋肉由来」なのか、それとも「肝臓由来の可能性」を考えるべきなのか。その判断を助けるための、独自のフローチャートをご用意しました。お手元に健康診断の結果票をご用意の上、ご自身の数値を当てはめてみてください。
このフローチャートの鍵を握るのは、AST(GOT)とALT(GPT)の比較・診断上の関係性、そしてAST(GOT)とCK(CPK)の相関・裏付けの関係性です。これらの酵素のバランスを見ることが、原因を特定する上で極めて重要になります。

次に何をすべきか?再検査とトレーニング継続のための具体的なアクションプラン
フローチャートでご自身のタイプが分かりましたでしょうか。ここからは、診断結果ごとにとるべき具体的なアクションを解説します。
「ほぼ筋肉由来」または「筋肉由来+脂肪肝の可能性」と出た方へ
まず、過度な心配は不要です。あなたの数値上昇は、トレーニングの成果である可能性が非常に高いです。
しかし、「筋肉由来+脂肪肝の可能性」と出た方は注意が必要です。筋力トレーニングと脂肪肝には、間接的な影響・リスクの関係性があります。トレーニングをしているからと安心し、糖質や脂質の多い食事を摂りすぎると「隠れ脂肪肝」になることがあります。この点は軽視すべきではありません。
いずれのタイプの方も、一度トレーニングを休んで再検査を受け、正確な肝臓の状態を把握することをお勧めします。
「肝臓由来の可能性あり/高い」と出た方へ
自己判断はせず、なるべく早く、かかりつけ医または消化器内科・肝臓内科を受診してください。その際、この記事のフローチャートや、ご自身が日常的に行っているトレーニング内容、プロテインやサプリメントの摂取状況を医師に伝えることで、よりスムーズな診断に繋がります。
全員が知っておくべき「再検査」の受け方
正確な肝臓の数値を把握するため、再検査の前には以下の点を必ず守ってください。
比較表
正確な診断のために。再検査前のDo’s & Don’ts
| 項目 | やるべきこと (Do) | 避けるべきこと (Don’t) |
|---|---|---|
| トレーニング | 検査の最低でも2〜3日前から、激しい筋トレは完全に休む。 | 検査前日に追い込みトレーニングを行う。 |
| 食事 | いつも通りの食事を心がける。 | 検査前日に焼肉や揚げ物など、脂質の多い食事を摂る。 |
| 飲酒 | 検査の数日前から禁酒する。 | 検査前日の深酒。 |
| 睡眠 | 十分な睡眠時間を確保し、体を回復させる。 | 夜更かしをして、疲労が溜まった状態で検査を受ける。 |
よくある質問(FAQ):プロテイン、サプリ、休養期間について
最後に、多くのトレーニーの方から寄せられる質問にお答えします。
Q1: プロテインのせいで数値は上がりますか?
A1: プロテインと肝機能障害には、潜在的リスクの関係性があります。メーカーが推奨する通常の摂取量であれば、プロテインが直接的に肝臓の数値を悪化させることは稀です。しかし、一度に大量に摂取するなど、過剰なタンパク質の摂取は肝臓での分解・代謝に負担をかける可能性があります。何事も適量が大切です。
Q2: 海外のサプリは危険ですか?
A2: 全てが危険なわけではありませんが、一部の海外製サプリメント(特に筋肉増強を謳うもの)には、肝障害を引き起こす成分が含まれているとの報告が国内外であります。成分表示が不明確な製品や、安価すぎる製品の利用は慎重に判断してください。
Q3: どのくらい休めば数値は下がりますか?
A3: 個人差はありますが、筋肉由来のAST上昇であれば、トレーニングを中止して3日〜1週間程度で正常値近くまで下がることがほとんどです。もし1週間以上休んでも数値が下がらなければ、他の原因を考える必要があります。
まとめ:正しい知識で、トレーニングと健康を両立しよう
あなたの高いAST/ALT値は、多くの場合、トレーニングによるものです。しかし、その背景にはALTやCKといった他の数値とのバランスが重要であり、AST(GOT)とCK(CPK)の強い相関関係などを理解することが、冷静な判断に繋がります。
正しい知識があれば、健康診断の結果に一喜一憂することなく、自信を持ってトレーニングと健康管理を両立できます。
フローチャートで少しでも不安な結果が出た方は、決して自己判断せず、この情報を基にかかりつけ医、またはお近くの消化器内科・肝臓内科を受診してください。
[参考文献リスト]
- 日本人間ドック学会: https://www.ningen-dock.jp/
- 日本肝臓学会: https://www.jsh.or.jp/



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