筋トレのセット数、まだ「3セット10回」で満足?停滞を打ち破る『週10セット』の新常識

筋トレ

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この記事を書いた専門家

田村(タムラ) 
ボディメイク実践者 / 行動×身体構造アプローチ

自身もかつては、自己流のダイエットやトレーニングで何度も遠回りを経験。
パーソナルトレーニングを受けながら、柔道整復師の専門的指導のもとで身体の使い方・回復・負荷設計を見直し、23kgの減量に成功

その成果として、2025年APF埼玉大会5位・全国11位を獲得。
「気合いや根性」ではなく、身体構造・回復・行動設計を重視した再現性のあるアプローチを強みとする。


トレーニング歴1年、おめでとうございます。しかし最近、「前と同じメニューをこなしているのに、体が全く変わらない…」そんな停滞期に悩んでいませんか?

ご安心ください。その悩みは、多くのトレーニーが必ず通る道であり、むしろ次のステージへ進むための重要なサインです。そして、その停滞のほとんどは「1回のトレーニングでのセット数」という視点から「1週間の総セット数」という視点へと考え方を変えるだけで、驚くほど簡単に打ち破ることができます。

この記事では、これまで頼りにしてきた自己流の”おまじない”を卒業し、科学的データが示す「1部位あたり、週に10セット以上」という新常識で、あなたの筋肥大を再加速させるための論理的なトレーニングガイドを提供します。

この記事を読み終える頃には、なぜご自身の成長が止まってしまったのかを根本から理解し、明日からのトレーニングメニューを自信を持って修正するための、具体的な改善プランが手に入っているはずです。

なぜあなたの成長は止まったのか?「3セット10回」が効かなくなる科学的な理由

「3セット10回」というメニューは、トレーニングを始めたばかりの頃には非常に効果的だったはずです。しかし、私もそうでしたが、ある時点からピタッと効果が感じられなくなる時期が来ます。これは決してあなたの努力が足りないからではありません。原因は、トレーニング科学における最も基本的な原則、「漸進性過負荷の原則(ぜんしんせいかふかのげんそく)」にあります。

漸進性過負荷の原則とは、「筋肉を成長させ続けるためには、常に以前より少しだけ強い刺激(負荷)を与え続けなければならない」というルールです。

人間の体は非常に賢く、同じ刺激を受け続けると、その刺激に効率よく適応してしまいます。トレーニング開始当初は、「3セット10回」が体にとって新しい刺激だったため、筋肉はそれに適応しようと成長しました。しかし、1年間その刺激を続けた結果、あなたの体は「3セット10回」の負荷に完全に慣れきってしまったのです。

つまり、現在の停滞期(プラトー)は、漸進性過負荷の原則を満たせていないことが直接的な原因です。今のトレーニングは、もはや筋肉を成長させるための「新しい刺激」ではなく、現状を維持するための「日課の運動」になってしまっている可能性が高いのです。

私はスミスマシンを使用して高重量低回数&低重量高回数を交互に行うことで負荷を慣れさせない方法をとっています。

停滞打破の鍵は「週の総セット数」。筋肥大を最大化するトレーニングボリュームという考え方

では、どうすれば再び漸進性過負荷の原則を満たし、筋肉に新しい刺激を与えられるのでしょうか。その答えが「トレーニングボリューム」という概念を理解することにあります。

トレーニングボリュームとは、「重量 × 回数 × セット数」で計算される、トレーニング全体の総負荷量を示す指標です。そして、近年の筋肥大研究において、このトレーニングボリュームを長期的に増やしていくことが、筋肉を大きくするための最も重要な要因であると結論付けられています。

このトレーニングボリュームを管理する上で、最も分かりやすく、かつ効果的な指標が「1週間あたりに、特定の部位を合計何セット行ったか(週あたりの総セット数)」です。

筋肥大研究の世界的権威であるブラッド・シェーンフェルド博士らが2017年に行ったメタアナリシス(複数の信頼性が高い研究を統合して分析した研究)によれば、1部位あたり週に10セット以上のトレーニングを行うグループは、それ未満のグループに比べて、統計的に明らかに高い筋肥大効果を示しました。

つまり、トレーニングボリュームと筋肥大効果の間には明確な相関関係があり、停滞期にある中級者にとって「週10セット以上」が、成長を再開させるための科学的なスイートスポット(最適点)となるのです。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 「週10セット」という数字は、あくまで停滞を打破するための優れた出発点です。この数字を絶対的な正解だと思い込まず、ご自身の体の反応を見るための「基準」として活用してください。

なぜなら、トレーニングの効果には個人差が必ず存在するからです。多くのクライアントを見てきましたが、「週12セット」で最も成長する人もいれば、「週15セット」でさらに伸びる人もいます。まずは「週10セット」を2ヶ月ほど試してみて、そこから少しずつセット数を増減させ、ご自身だけの最適なボリュームを見つけていくプロセスこそが、中級者から上級者へとステップアップする上で最も重要になります。

明日から実践!「週10セット」を達成するための具体的なメニュー分割戦略

「なるほど、週10セット以上を目指せばいいのか」と理解したところで、次に多くの人が陥るのが「では、具体的にどうやってメニューを組めばいいのか?」という疑問です。

ここでやりがちな典型的な失敗パターンが、1回のトレーニングで10セット以上を無理やりこなそうとすることです。例えば、胸のトレーニングの日に、ベンチプレスを5セット、ダンベルフライを5セット…と行うと、後半は疲労でフォームが崩れ、トレーニングの質が著しく低下してしまいます。

そこでおすすめしたいのが、週あたりの総セット数を達成するために、トレーニング頻度を上げるという戦略です。

これまで週に1回しか行っていなかった部位のトレーニングを、週2回に分割するのです。これにより、1回あた社のトレーニングの質を高いまま維持しつつ、週の総ボリュームを無理なく増やすことが可能になります。

以下の比較表で、従来のプランと改善プランの違いを確認してみましょう。

トレーニングプラン改善例(胸のトレーニングの場合)

項目従来の週1回プラン(停滞期)改善後の週2回プラン(推奨)
トレーニング日月曜日月曜日 & 木曜日
月曜日のメニューベンチプレス: 3セット
インクラインプレス: 3セット
ダンベルフライ: 3セット
ベンチプレス: 4セット
ダンベルフライ: 3セット
木曜日のメニュー(なし)インクラインプレス: 4セット
ケーブルクロスオーバー: 3セット
1回のセット数9セット7セット
週の総セット数9セット14セット
評価刺激に体が慣れてしまっている。1回の負担は減らしつつ、週の総ボリュームは大幅に増加。筋肥大に効果的な刺激を与えられる。

よくある質問:セット数以外の変数はどうする?(レップ数・重量・インターバル)

週の総セット数という新しい考え方を導入する際に、よくいただく補足的な質問にお答えします。

Q. セット数を増やしたら、回数(レップ数)や重さは変えるべき?

A. まずは、これまで通りの「8~12回で限界がくる重量設定」を維持してください。最優先で変更すべきは「週の総セット数」です。トレーニングボリュームの考え方に慣れてきたら、筋力向上を狙う日(5~6回の高重量)と、筋肥大を狙う日(10~15回の中重量)を組み合わせるなど、さらに応用的なプログラムに挑戦するのも良いでしょう。

Q. セット間の休憩時間(インターバル)はどれくらい取ればいい?

A. 筋肥大が目的の場合、セット間のインターバルは60秒から90秒を目安に取るのが一般的です。重要なのは、次のセットを質の高いフォームで遂行できる程度に回復することです。短すぎるインターバルは使用重量の低下を招き、結果的にトレーニングボリュームを減少させてしまう可能性があるため注意しましょう。

まとめ:科学を味方につけて、賢く成長の壁を乗り越えよう

今回は、筋トレの停滞期を打破するための科学的なアプローチについて解説しました。最後に、重要なポイントを3つにまとめます。

  1. あなたの停滞は、体が刺激に慣れてしまった自然なサインです。
  2. 解決策は「1回のセット数」から「週の総セット数」へ視点を変えることです。
  3. まずは「1部位あたり週10セット以上」を目安に、トレーニング頻度を上げるなどしてメニューを見直してみましょう。

「3セット10回」というメニューを1年間も継続できたあなたは、すでに素晴らしい継続力とポテンシャルを持っています。その努力を、これからは「科学」という強力な羅針盤で、確実に成果へと結びつけていきましょう。

まずは今週、あなたの胸のトレーニングが「合計で何セット」になっているか、計算してみることから始めてみませんか? その数字が、あなたの新しい成長の始まりになるはずです。


 

[参考文献リスト]

  • Schoenfeld, BJ, Ogborn, D, Krieger, JW. (2017). Dose-response relationship between weekly resistance training volume and increases in muscle mass: A systematic review and meta-analysis. Journal of Sports Sciences, 35(11), 1073-1082.

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